解領域の決定

solution domain デザインディレクションとは

解領域(Solution Domain)とは

 プロジェクトにおいて前項でミッションを再設定しました。このミッションを達成するために最も適したソリューションの領域を検討します。言い方を変えると「解領域を決める」というステップです。

 解領域の決定とは、古くから言われている4P*や4C*、現在のデジタルマーケティングなど、製品を売るためのマーケティング要素はいろいろありますが、それらのどこ(觧領域)を刺激することがミッションを達成するためには最適かを決める行為です。

 *4PとはProduct・Promotion・Price・Placeで製品・プロモーション・価格政策・販路の4つを差し供給者側からみたマーケティング要素と言われます。

 *4CとはConsumer・Customer cost・Communication・Convenienceでインサイト・顧客コスト・コミュニケーション・利便性のユーザー側からみたマーケティング要素です。

解領域の例

 このように記すと分かりづらいので、例を上げて説明します。

 例えば、いままでターゲットを女性に絞ってブランド化してきたバッグメーカがあったとします。そこで売り上げを10%伸ばしたいというミッションを目標の優先順位1番で掲げたとします。そして第2優先でユーザ層の拡大、第3優先としてブランドイメージを高めるプロジェクトを始めるとします。

 これらの解を得られそうな領域のアイデアを、漏れがないように洗い出します。

 例えば4PのProductをメインの解領域として考え、10%価格の高い新製品を開発する。女性だけでなく男性も欲しくなるデザインにする。高級感を演出する仕立てにする。といったアイデアが出たとします。

 別の角度から4PのPromtionをメインの解領域として考え、広告宣伝に力をいれるといったアイデアがでます。Priceをメインにすれば価格を下げて売上総額を伸ばすことを狙うというアイデア。またPlaceをメインとすれば販路を百貨店からセレクトショップへ広げるなどのアイデアが出てきます。

 アイデアというものには次元があります。CIを企業戦略にとって内包すべき最も高い次元の概念とすると、それに次ぐ次元のBIがあったとします。すると当該のプロジェクトが、バッグメーカ全体を対象の次元としているのか、それともブランド内のプロジェクトと位置づけているのか、ということで解領域は変わってきます。

 先ほどのバッグの例であれば、6個のアイデアのうち、「女性だけでなく男性も欲しくなるデザインにする」は第2優先順位の「ユーザ層の拡大」には合致しますが、BIが女性向けに絞ってきたブランドですからBIの変更を要求します。またPriceを下げて売上総額を伸ばすことを狙うというアイデアは第3優先の「ブランドイメージを高める」という観点からNGとなります。

 このようにプロジェクトで検討するアイデアはプロジェクトの次元内に収めるのか、次元を逸脱しても良いとするかについても決定し、コンセンサスを得ることが解領域の決定になります。

解領域に求められる条件

 プロジェクトの解領域は、プロジェクトのソリューションを考える際に、アイデアの概念が「ミッションの再設定で表された概念とその優先順位」を、バランス良く達成できる解の領域であることが条件になります。言い方を変えると「ミッションを達成するのために刺激すべき最適な領域」が解領域となります。

 ミッションの解となる刺激すべき領域は、単独で存在するわけではなく相互作用がありますので、幅広く様々なアイデアを考える必要があります。ですから解領域としてプロジェクトそのものが「新製品開発」とならない場合もあります。

 プロジェクトはミッションが不明瞭のまま、自社が保有するリソースを活かすソリューションだけに選択肢が固定され、自社都合の製品を作り出す領域に固定されてしまうこともあります。このようなプロダクトアウト発想でプロジェクトを初めて最良の結果になることは難しいことを理解しつつ、プロジェクトを窮地に陥らせないように「解領域はミッションを実現するため」が必ず最優先になるよう確認を入れましょう。

 ではまた!

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