デザイン評価規準

design-quality-evaluation-vol1 デザインディレクションとは

デザイン評価のポイント

 デザインの評価とは、インプットしたデザイン条件とアウトプットされたデザイン案を比較し、デザイン案により高い価値を付加するよう導き定める行為です。

 インプットするデザイン条件については「デザイン条件のまとめ」(詳しくはこちら)で説明しました。

デザインの評価方法の提示

 評価方法を提示する際に大切な要素は、何について評価を行うかというものさしの種別である評価規準と、その規準を用いてデザインをコントロールする範囲を決める判断基準の2点を明確にすることです。

これらが曖昧なまま評価を行うと、デザイナーは何を評価されているのか分からなくなってしまいます。

 例えば製品のメインボタンの色について評価する際「製品コンセプトの優先順位は製品のプレミアム性を高く」というインプットに対し、デザイナーは「製品のユーザインターフェース(以降UI)のメインとなるボタンを最も目立たせたい」と考え、注意喚起色であるコントラストの強いカラーを使った場合を考えてみます。

 この場合インプットしたデザイン条件が、「プレミアム性をより高めるためには製品全体の佇まいを優先させたデザイン」という全体のまとまりを優先して求めているのに対し、デザイナーは「メインボタンと製品本体とのカラーコントラストを上げ、使いやすいユーザビリティを生み出すこともプレミアム製品として必要だ」と考えました。

このようにデザイン条件の解釈に齟齬が生まれています。どちらの意見も間違っているわけではなく、製品コンセプトの優先順位が、「製品のまとまり」をどの程度の優先順位に配置しているかデザイン条件で明示していれば齟齬は生まれづらくなります。また齟齬が生まれてもデザイナーへの情報は一環していますから、適切なデザインへの変更指示がし易くなります。

この評価の「ものさしの種類としての評価規準」と「ものさしの目盛りとしての判断基準」は製品コンセプトを構成している概念とその優先順位により決まってきます。

デザインの主な評価規準

 製品の評価規準のもっとも上位にくるのは、User Experience(ユーザ経験、以降UX)の満足を提供できているかです。UXは製品だけで決まるのではなく、製品をとりまくブランドイメージや入手ルートを含む企業姿勢など全ての評価規準を含みます。

 この幅広く製品を評価する規準にはどのような項目があげられるでしょうか。

様々な概念が交錯するなかで、これらの概念を整理すると、製品の評価規準は大きくは以下の3点に分けられます。なお下記の(A)(B)(C)の順は評価規準の優先順位を表すものではありません。

3つの評価規準

(A)アイデンティティ評価|特徴点評価

 製品が市場にある製品のなかで、ユーザ体験を満足させるために的確に特徴を表しているかを評価する規準をつくります。特徴がないことも特徴ですので注意してください。 

(Aー1)ポジショニング評価

 製品は求められるポジショニングを的確に表現できているか。

(Aー2)ブランディング評価

 製品は背景となるブランド・アイデンティティ(BI)とコーポレイト・アイデンティティ(CI)を適切に表現しているか。

(Aー3)製品コンセプト評価

 プロジェクト特有の突出させたい概念とその優先順位が的確に表現できているか。

(B)ユーザビリティ評価(使い勝手評価)

 製品の使い勝手は、想定ユーザの体験を満足させられるデザインになっているか評価する規準をつくります。 

(B−1)認知性

 製品を使う際にアフォーダンスからユーザ・インターフェイス(UI)への導入は認知しやすいか。

(B−2)操作性

 UIは適切な操作性を有しているか。これには一連の操作の流れを含みます。

(B−3)快適性

 製品デザインは認知性・操作性などを介して快適な使い勝手を実現しているか。

(C)デザインクオリティ評価(作り込み評価)

 ユーザー体験を満足させるために製品のデザイン品質はアピアランスとして見えるところから、メンテナンス性や経時的な変化という購入時点でユーザには分からない部分まで、ユーザを満足させられる作り込みが出来ているか評価する規準をつくります。

(Cー1)オリジナリティ評価

 製品のデザインにオリジナリティ性があるか。

(Cー2)デザイン・ポリシー評価

 製品のあらゆる箇所が全てが同一のデザインポリシーで貫かれているか。

(Cー3)洗練度評価

 製品はポジショニングに相応しい洗練度に達しているか。

デザイン評価規準まとめ

 これらA、B、Cの評価規準はそれぞれがデザインを評価する規準、すなわち「評価する際のものさしの種類」です。それぞれの製品は、製品コンセプトに従ってさらに細分化されたものさしを持っています。

 この評価規準は相互に反発し判断がぶつかり合うことがあります。例えばブランドのロゴをデザインの特徴として推し出したい製品を評価する場合、アイデンティティ評価ではブランドを推す目的を果たしていて合格でも、ユーザビリティ評価ではブランドロゴが操作の邪魔をしてユーザビリティ評価として不合格となる場合が考えられます。

この場合でもアイデンティティを優先するのか、またはユーザビリティを優先するのか、製品コンセプトの優先順位に従って評価規準とその優先順位を明確に決定し説明できることがデザイン評価では求められます。

 これらの評価に使う3つの評価規準ですが、プロジェクトにおいて、デザイナへのインプット項目として

昇華して整序していますが、その内容を評価規準にそのまま使うのではなく、アイデンティティ・ユーザビリティ・クオリティの個別の概念に再びほぐすことで、製品コンセプトを作ったときには見えなかった相互作用に気づき、大きな価値を作り出すことが多くあります。そのためデザインを評価する時点で製品コンセプトを再度分解することをおすすめします。

 なおここではデザイン評価の評価規準の大枠について説明していますので、デザインを実際に評価する際はさらに評価規準をブレークダウンして、デザイン計画とのズレの程度を見て判断していきます。デザイン評価の実際の事例については後述します。

 長くなってきたので、ここで一旦このログは終わりにして、次に上記の(A)(B)(C)について個別に詳しく説明したいと思います。

ではまた!

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