(A)アイデンティティ評価|特徴点評価
前項でデザインの主な評価基準を3つあげました。(A)アイデンティティ評価(B)ユーザビリティ評価(C)クオリティ評価です。
本項ではこのうちの(A)アイデンティティ評価の判断規準について考えていきます。
アイデンティティ評価とは製品の特徴点を評価することです。
アイデンティティ評価とは製品の特徴点を評価することで、付与した製品のさまざまなポジショニングが想定しているユーザ体験を満足させているかを評価します。
前項で記した通りポジショニングは以下の3項目(A1~A3)について、想定しているユーザに対して満足を与えられるかについて考えます。これらの3項目はそれぞれが単独で存在しているわけではありません。評価規準を洗い出すためにここでは分解して考えているだけで、これら3項目は相互に深く作用しあっています。そのため評価する際は総合的な判断が必要となります。
(A1)製品は求められるポジショニングを的確に表現できているか。
製品を主に使ってくれるユーザーの属性は適切か。製品が属すると思われるカテゴリの中で適切な位置づけに置かれているか。またそのカテゴリーの位置づけは適切かを評価します。
(A2)製品は背景となるブランディングを適切に表現しているか。
製品が属するブランドや企業のアイデンティティに相応しいかを評価します。この(A1)カテゴリ内でのポジショニングと、(A2)BIやCIが適切であることは製品としての必要条件になります。
(A3)プロジェクトでの製品コンセプト(突出させたい概念とその優先順位)が的確に表現できているか。
製品を存在させる意味として、プロジェクトが担った製品コンセプトがあります。製品コンセプトはプロジェクトに命を吹き込む大切な情報です。ここではそのコンセプトを的確に表現しているかを評価します
製品コンセプトをデザイン評価の時点で解す理由。
前項の繰り返しになりますが、これら3項目(A1~A3)の評価では、デザイナへのインプット項目を整序して製品コンセプトとして伝えている場合でも、製品コンセプトを組み立てた元の概念をそのまま使用しないようにしましょう。
製品コンセプトという高い次元に昇華させたワードは、次元をあげ抽象化することで飛躍的に概念の総量を増大させています。そのため製品コンセプトを組み立てたときのインプットした情報量と、デザインとして上がってきた評価物の情報量は同じではありません。その増大した概念をデザイナにインプットしてデザイナの持っている知識や経験などのバイアスを経て可視化できるデザイン案にまとまっています。そのためデザインを評価する際にはデザイナが製品コンセプトをどのように考えデザインに帰着させたかを評価することになります。
この作業を行うためにデザイナへインプットした製品コンセプトという次元を高めた概念の塊を再度分解して、評価できる判断規準まで次元を下げ具体化していくことが必要になります。
またこの作業をデザイナと一緒に再びほぐし次元を戻すことで、製品コンセプトを作ったときには分からなかった相互作用に気づくことがありますから、デザインを評価する時点で製品コンセプトを再度分解してください。
この作業は具体的には、製品コンセプトを読点で区切られた文節単位に分け、個々の文が何を指し示しているか連想して概念をほぐしていきます。
ではまた!
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