ブランディング評価

デザインディレクションとは

(A2)ブランディング評価

 ポジショニング評価で洗い出した概念にCI、BIを適切に表現しているかというブランディング評価の判断規準を加えていきます。

 ここで欲しい判断規準は製品のアイデンティティを表すために、ブランドやコーポレイトのイメージを構成している因子となる概念を洗い出し、優先すべき概念を適切な優先順位で表現しているかを評価する規準です。

ユーザに認知して欲しい概念を洗い出す

 製品コンセプトには抽象概念として製品のブランドが持っているBIや、製品を提供する会社が持っているCIなどを概念化し相互作用を持ちながら包含されています。

 また製品は他にも様々な抽象概念を持ちます。これらを可視化しユーザにうまく感じ取ってもらう行為がデザインで、その起点は製品コンセプトです。

 先のポジショニング評価で出てきた概念に加えて、抽象概念の捉え方を明確にするために「製品コンセプトをデザイナに説明する際の注意点」(くわしくはこちら)で紹介した次のテンプレート「アピアランスを手がかりにしたパーソナルイメージ表」を使います。

 上記表の横軸には製品のアピアランス(外観)からユーザに感じ取ってもらいたい概念が「〇〇な感じ」と記されています。このテンプレートを使う意義は、製品コンセプトの表記によって強く推し出したい概念の方向性や度合いといった、微妙な意味合いの評価規準を検証すると共に、補足する概念の検討や対概念との比較を行うことができる点です。

 また製品コンセプトが持つ社会的な立ち位置、製品の進化度合いの設定レベルや文化・文明に対するスタンス、CIやBIの背景にある信念・主義・主張などの評価規準も深く評価できる点で有意義です。

 このテンプレートに「高付加価値デジタイザペン」の製品コンセプトから求めれれる評価規準を割付け、各概念の重み付けを記してみました。

Fig.10「高付加価値デジタイザペンのアピアランスに求められるイメージ」

 この表の分析例として一例を上げると、評価性のポイントは高めで情緒性が中庸、怜悧性は非常に高く、親近感は中庸、時間因子は高め。時間因子の項を掘り下げると、新しい感じを出しモダンかつ進歩的でありながら保守的な感じも残すといったニュアンスが分かります。

 この方法は、概念と概念を組み合わせて総体として大きくなったゲシュタルトの組み合わせをほぐしてわかりやすくする行為です。

 そのためこの方法で行う際に、デザインディレクタとして大切なことは、大きくなった概念をさらに高次の視点から評価できるように、できる限りイメージを膨らませておく必要があります。少なくともデザイナと同等以上にイメージを膨らませる必要があります。

 イメージを膨らませる方法について詳しくは後述する予定ですが、簡単に記すと連想をどんどん進めていくことです。その際に不明瞭な概念に出会ったらできる限りしっかりと調査し、その概念がなぜそのようなイメージを作り出す力があるのかを考察することが大切です。

 以上で出てきたブランドを表す概念をこちらも実体概念・属性概念・機能概念・価格概念・抽象概念・形態概念に分けて一覧できるようにします。

アイデンティティ評価としてのブランディングを表した6概念の一覧

 以下製品のアイデンティティ評価としてのブランディングを表した6概念の一覧になります。ここでは例として5評価の「まさしくその通りである」と1評価の「全くそのとおりではない」だけを抽出しましたが、実際には4評価や、2評価の「あまりその通りでない」や「どちらとも言えない」という中庸の評価も踏まえて一覧にしていきます。

 製品コンセプトはポジティブサイドの概念が強く出る傾向にありますが、ネガティブサイドの概念の中からポジティブサイドの対概念となる概念を徹底的に省くことでコンセプトの純度が上がりレバレッジが強く掛かることがありますから、ネガティブサイドの概念も大切に検討していきましょう。

Fig.11

 長くなってきましたのでアイデンティティ評価の3項目であるプロジェクトでのコンセプト評価については次項とします。

ではまた!

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