デザインクオリティ評価(作り込み評価)
前項でデザインの主な判断基準を3つあげました。(A)アイデンティティ評価と(B)ユーザビリティ評価(C)クオリティ評価です。
本項ではこのうちの(C)デザインクオリティ評価の規準について考えていきます。
デザインクオリティ評価とは製品の作り込みを評価することです。
ユーザー体験を満足させるためには、製品はブランドというアイデンティを具現化し、所定の機能と性能を適切なユーザビリティで実現するだけでは足りません。製品はBI・CIを包含しながらユーザに満足度を与えるレベルのデザイン洗練度を持つことが非常に大切です。
デザインに求められることは一言でいうと格好良いということ。そして格好良いことの源泉は、想定ユーザが期待しているデザインのレベルを良い意味で超え裏切るレベルにまで昇華出来ているかに掛かってきます。
この判断は想定ユーザにより、規準も基準も様々ですから、これらを高次に昇華させた例を特定することはできませんが、デザインが出てきたコンテクスト(脈略)と現状のベクトル(現時点での文化・文明の方向性)、さらにそのベクトルの先にあるプリンシパル(目指すべき意思)によって決まってきます。このレベルは芸術性に通じる話で、ビジネスパーソンが求めている、勉強で得られるデザインディレクションの範囲を越えている範囲でもありますので、詳しくは別途記していきたいと思います。
製品のデザインクオリティレベルを評価する
本項ではデザインを評価する上で、製品のデザインクオリティレベルが一定水準以上に洗練されているか評価することを目標に、評価する判断規準について考えます。
また洗練されている製品とは外観を一瞥しただけではわからないことがあります。製品の細部や裏側にもデザインはあります。製品のパッケージや販売している場所などのデザインもあります。またメンテナンス時にしか見ることがない製品内部のデザインもあります。これら製品のありとあらゆる隅々までデザインの配慮が行き届いているかを評価することが、デザインクオリティレベルの評価です。
デザインクオリティを生み出す3つのポイント
オリジナリティ評価
製品のデザインにオリジナリティ性があるか。
デザイン・ポリシー評価
製品のあらゆる箇所が全てが同一のデザインポリシーで貫かれているか。
洗練度評価
製品はポジショニングに相応しい洗練度に達しているか。
デザインディレクションで注意するポイント
製品が洗練されているか、これはプレミアムブランドだけに必要な評価規準ではなく、コモデティ製品であってもコストの制約の中で知恵を使い配慮するべきです。
製品本体の洗練度はデザイン主導で具現化され、製品本体以外の洗練度はデザイン部門だけで達成できる話ではありませんが、デザインが起点となって、より洗練度の高い製品になるように組織に働きかけていくべき内容です。少なくともデザインが起点となって洗練度を下げることは、あってはならないことですから、デザインディレクタとしては先に上げた様々な部分にも注意し、出来得る限り配慮しましょう。
ここではデザイン評価の判断規準の洗い出しについて説明しています。デザインを実際に判断する際はさらに仔細に評価規準を洗い出し、その判定規準をもとにプロジェクトにおける製品が、如何にデザイン計画とズレているかを評価することで判断していきます。
以下評価ポイントごとに説明していきます。
ではまた!
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