プロジェクトとは
モノづくりを始める際にまず考えなければならないのは、どの様な道筋で仕事を進めるかという手順を考えることです。どこから手をつけるか分からなければ一歩も前に進めません。そのためプロセスについて説明します。
まずは仕事の手順を考える上で言葉の定義を明確にします。プロジェクトとは「事業を何らかの目的で実行するひとかたまりの仕事」とします。ビジネスパーソンであるあなたが売上を上げて利益を出すための「3カ年プロジェクト」だったり「看板製品の利益向上プロジェクト」などを指します。
ですからデザイン開発を始める前段階を含み、ビジネスとして何をしようか?という中期的な計画から、「これをプロジェクトにしたい」という仮説のもとに、仮説検証のプロセスを「A:準備プロセス」とします。
準備プロセスを経て「B:製品コンセプト制作プロセス」に進みます。ここで製品として特に強く推し出していきたい特徴点が検討され「製品コンセプト」が決められます。
そして「C:製品開発プロセス」です。ここでは製品デザインが本格的に始まり、製品としての理想像から技術的な摺り合わせなども踏まえて具体的な製品デザインが固められていきます。本ログではデザインディレクションを中心に記していきます。
最後に「D:事業化プロセス」はその後開発した製品を事業として運営していく段階になります。
プロジェクトをフェーズで分ける
この4つのプロセスはデザインだけの話ではなく、新しい製品を検討する時は手順は違ってもプロセスとしては絶対に必要な検討項目ですが、同じ会社で何年も企画を検討していると「なぜこのプロジェクトが存在するのか?」という起点を忘れてしまい、流れ作業的に企画を立ち上げ推進してしまっている危険性があります。プロジェクトの存在そのものを明確にするためにも「仕事のプロセス」はとても大切ですので、確認するだけになっても構いませんからプロセスは飛ばさずに検討していきまましょう。
プロセスとはもう一度大枠で捉えると以下のようになります。( )内は本ログのカテゴリを表します。
A.プロジェクトがなぜ必要なのか存在意義を明らかにしてミッションを定め達成するための課題を漏れなく想像し、解決すべき課題を取捨選択する。「準備プロセス(デザイン条件のまとめ)」
B.課題を解決するソリューションの完成形が想像できるまで、ユーザーの立場でアイデアを練る。「製品コンセプト制作プロセス(コンセプトメイク・プロセス)」
C.練ったアイデアの完成形アイデアをミッションからズレないよう具現化する。「製品開発プロセス(デザイン開発プロセス)(デザインの評価方法)」
D.できあがった成果物を使いビジネス展開を行いフィードバックをかける。「事業化プロセス(フィードバック)」
繰り返しますが、何かを作り出すプロジェクトでは、手順の前後はあっても全ての確認事項を実施することが大切です。
4つのプロセスとは
本ログで最も伝えたいことの一つとして、製品開発というプロジェクトを始める前に「製品を開発する」ことが中期の計画における「最適な解」であることを、あらゆるステークホルダーに納得してもらうことの大切さです。このプロジェクトの存在証明を「1:準備プロセス」で行います。まずこの説明をしましょう。
ここで言っている製品開発の「準備プロセス」とはデザインだけの話ではありません。ビジネスパーソンであるあなたが企画を決める際に根源的な問いとして「このプロジェクトの解は製品開発で良いのか」という問題があります。
起業間もない経営者であれば、製品開発を即実施することは明確だと思いますが、事業継承を繰り返している企業では「なぜこのプロジェクトが存在するのか?」という最も大事な問いを、当たり前のこととして忘れてしまい、流れ作業的に〇〇年度プロジェクトとして立ち上げ、推進してしまうことが往々にしてあると思います。
例えばアパレルメーカが売上を上げるために今季の製品開発をすることはあまりにも当たり前のように感じます。しかしアパレルのように新しいことに大きな意味を持つ事業であっても「新しいデザインの製品を開発する」より、「ファッション定番になっている製品のイメージ向上を図る」方が、事業を俯瞰した場合、効果が上る可能性はあります。
プロジェクトを始めるにあたりビジネスパーソンが「プロジェクトに最も相応しい解が製品開発」かどうかを問うことはとても大切です。これは製品開発を行うと決めたプロジェクトには、担当するデザイナ、技術者、設備などプロジェクトに関わる全てのリソースを動員して行うことになるからです。この点を明確にチェックをするためにも「準備プロセス」を大切に考えてください。
モノづくりを始める際にまず考えなければならないのは、どの様な道筋で仕事を進めるかという手順を考えることです。どこから手をつけるか分からなければ一歩も前に進めません。
下表は製品づくりを実施する工程です。デザインディレクションは、先に上げた「準備プロセス」と「事業化プロセス」も大切ですから、デザイン工程の範囲よりはるかに広義にプロジェクトと捉え、製品開発だけでなく前後のプロセスを含んで図示しています。
デザイン開発を行う前の準備プロセスを経てプロジェクトの存在意義を確定させ、製品コンセプト制作を行う手順が標準的ですが、日程の関係から準備プロセスと製品コンセプト制作を同時に進めることがあります。また製品コンセプトありきでプロジェクトを進める場合、製品コンセプト開発プロセスを先に実行し追って準備プロセスを行う場合もあると思います。
またデザインディレクターとしてデザインプロセスだけを担当する場合もあると思います。その際は製品コンセプトを尊重するとともに、製品コンセプトを作るに至ったプロセスの確認が大切です。つまり表のステップは順番が変わっても全ての項目について確認をすることがとても大切になります。
表の中にある個々の工程についての詳述はこの後行います。
ではまた!
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