デザインが難しいと思われる理由

difficult-reason デザインディレクションとは

 デザインをビジネスパーソンが行うのは難しいと思っていませんか。それは単に自分にはデザインがわからないから避けているというだけではなく、デザインに対して敷居が高いように感じているからではないでしょうか。それはなぜでしょうか。

デザイン・センスに自信がない

 デザインとの関わりが一個人として最も如実に現れるのはファッションではないでしょうか。服をはじめとして、バッグや帽子、アクセサリ、腕時計など服飾雑貨です。

 次にデザインを気にしてるモノとして文房具や食器などパーソナルアイテム、クルマやバイクなどの乗り物類、家やインテリアといった住まい関係、壁紙や家具の他にもカーテンやリネン類それに食器などでしょうか。

 仕事で着るスーツや靴はシックなトラディショナルなモノでまとめていたとしても、スポーツの時はまったく異なるコントラストの強いウエアを着ることもあると思います。また同様にインテリアは非常にストイックなもので揃えても、デコラティブな食器類を大胆に取り入れたりすることもあるでしょう。

 ここで自身に質問してみてください。これら自分が使っているモノのデザインについて、どこがどのように良いと思って使っているか、自信を持って説明できますか。

 ファッションはなんとなくトラディショナルが好みとか、トレンドには気を使って取り入れているとか、ヒップホップ風とか、ギャル風など、学生のころから変わらない趣味で一貫している方もいれば、時代とともに変化している方もいると思います。

 このように、人は自分のファッションについてはそれなりに言葉にできます。派手なモノが好き。赤が好き。可愛いモノが好き。長く着られるものが好き。などといった嗜好に対する言葉です。それに対してファッション以外のデザインは分からないという方が非常に多いと思います。

 それはなぜでしょうか?

 ファッションについては「自分一人が責任を背負うべき表現手段だから、何を着ても勝手でしょ」という開き直りができます。しかしファッション以外のモノは、家族や同僚など他の人と共有で使う社会性を持つものですから、自分の嗜好だけで押し通すことができなくなります。また車なども価格差が大きく、いくらカッコ良いからとランボルギーニが欲しくても見合った収入がないと手にいれることはできず、関係性を持てません。

 ということは自分に直接関係しない、または関係性を持てないモノのデザインにはさして興味がない。というか興味を持っても仕方がないと考えがちなのではないでしょうか。

 このような状態の中で、新企画を立ち上げた企画者としてデザインに関わる必要が出た時、仕事の異動でデザインを管掌する必要が出てきたり、デザインについて意見を求められると困ってしまうわけです。

このデザイン・センスに自身が持てない課題についての対応策についてはこちら

デザインを言葉で表現できない

 次にデザインディレクションが難しいと思う大きな原因の一つに、デザインを言葉で表現することが難しいと感じていることがあると思います。

 あるデザインを見たときに一般的にみんなはどう思うのか。この赤い色をみんなはどう思っているか。あの丸い形は。そのザラザラした質感は・・・というデザインを見た際にどのような認知が生まれるか、あなたは上手く説明できるでしょうか。

 デザインの評価は一義的に決まるものではなく、様々な概念の組み合わせで決まります。例えばアイデンティティ一つを取っても、赤い車といってもトラック型の大型車だと消防関係かなと思いますし、車高が低く流線型ならスポーツカー、軽自動車のバン型なら郵便局の配達・・・さまざまです。

 このようにあらゆるモノは概念の組み合わせで用途や機能、イメージなどが決まるため、デザインを考える際はモノが持つ概念を分解して考えることが必要です。

 製品のデザインはどうでしょうか?企画をデザイナにインプットする時に、企画が持つ概念をどのようにデザインで具現化して欲しいのか説明が求められます。そしてデザインの採否を決める際はなぜこのデザインを選んだのかといった批評を与え説明する必要に迫られます。

 企画の概念を把握して言葉にする。その概念をどうコントロールしたいかデザイナーに伝え具現化してもらう。デザインを批評するためにまたデザインを具体的な言葉にする。つまり実体がまだ存在しない企画を抽象化して概念を伝え、その概念から具現化されたデザインを批評するためにまた概念化してデザイナーへフィードバックする。このようデザインをつくるためには概念の具現化と抽象化を行ったり来たりすることが必要とされています。

 しかしデザインを構成する形態・カラー・質感はどれも言葉が確定されて表されていません。自分で臨機応変に表現しなければなりません。

 デザインを決めていく作業とは、製品に求めれられる概念をより正確にデザイナへ伝え具現化することを目指し、デザイン発注時の概念が製品で的確に表現できたかという、インプットした概念とデザインというアウトプットされた製品の概念間の次元を変えた因果関係をコントロールすることです。

 具体的にはこれら因果関係を把握して、インプットからズレている概念を的確に指し示し、変更または修正する方向を的確な言葉やスケッチ・写真などのイメージを使って伝えることが求められます。

 これらの概念やデザインを表す言葉やイメージのボキャブラリを増やすこと。また考え方や伝達スキルを鍛えることは努力すれば身につけることができます。つまりデザインを決めていく作業は先的的な才能だけで構成されているのではなく、練習を積めば一定のレベルには出来るようになりますので、実行していきましょう。

デザインを言葉にする対応策についてはこちら

ではまた!(2024.12更新しました)

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