製品コンセプト評価

identity-evaluation-concept デザインディレクションとは

製品コンセプト評価

 アイデンティティ評価の3番目は、ポジショニング評価で洗い出した製品はポジショニングを的確に表現できているか、ブランディング評価で洗い出した製品は背景となるBIやCIは適切に表現しているか、という製品の骨格部分の判断規準に加え、プロジェクト特有の突出させたい概念とその優先順位が的確に表現できているか、というプロジェクトで特別に付加した製品コンセプトの評価規準を加えていきます。

 ここで欲しい判断規準は、プロジェクト特有の突出させたい概念とその優先順位を適切に表出させるために、強く推し出す概念の優先順位は効果的にはたらき、ユーザへしっかりとアピール出来ているか。という概念のレバレッジ(テコの原理)がうまく効いているか、を判断する規準を求めていきます。

製品コンセプトから6概念一覧表を作る

 いままでアイデンティティ評価で求めたポジショニングとブランディングで求めてきた概念を6つの概念枠毎に分類して表にします。

Fig.12

 ここで概念表を作る際のポイントは立派、清潔、深み・・・デリケートでない、進歩的など6つの概念枠に入り切らない概念については複数の概念枠に共存させて構わないということです。

 立派という概念は大きさや重さといった実体概念も内包し、形や色、質感といった形態概念も内包するからです。

 また複数の概念がトレードオフの関係になってしまうこともあり得ます。これらは両方とも欠かせない評価項目ですからジレンマの関係になっても共存させておきましょう。

 これらはあまり悩まずに割り付けていくことがポイントです。

 またこのように概念を洗い出す作業はデザイナを含めプロジェクトメンバー全員で行うべきで、様々な価値観を取り入れて一覧表は作った方がイメージの総量を増やすことができます。

 メンバー全員で6概念一覧表を作る際に、どう考えてもプロジェクトにふさわしくない概念が入り込むことがあり得ます。

 このようにふさわしくない概念が入る理由は、その概念を提示した担当者の価値観が他のメンバーと異なるからです。その場合他のメンバーよりも連想の次元が進んでいる場合の概念提示は非常に面白いレバレッジを生み出すことがあるので一覧表に取り入れて良いのですが、あきらかに概念を履き違えているようであれば割愛しましょう。これなどもデザインディレクタの仕事ですから、理由もしっかりと説明し採否を明確にしていきましょう。

6概念一覧表から優先順位を付ける

 この6概念一覧表を元に各概念に優先順位を付けていきます。

 この優先順位を付ける際はデザインディレクタが責任を持って優先順位を決めていきます。

 概念に優先順位を付けていく目的は製品のアイデンティティを評価するための規準を作ることですから、順位が同着ということは避けて、重み付けを変えながらはっきりと順位を付けていくことが求められます。

優先順位を決めるコツ

 プロジェクトの効果を最大化するために、評価規準となる概念の優先順位を変えることでレバレッジをさらに大きくできないかを議論していきます。

 また一覧を作った際に複数の概念がトレードオフの関係になってしまう場合もあり得ます。これらは両方とも欠かせない評価項目でジレンマの関係として共存させておくべきと記しました。

 この評価表ではジレンマに優先順位をつけて解消します。そのため2つの概念をポジティブな面とネガティブな面に分け各々を比較しプロジェクトにより相応しい方を高い優先順位に置いていきます。

 このようにジレンマに陥ったときの判断規準の作り方において、エシカルな方向へ向かうべきという正方向のベクトルと、負の方向の誘惑は魅力的で甲乙をつけがたくなることがあります。その際はあくまでもプロジェクトの範囲で考える内容なのか、BIやCIとして考えることなのかを分けて判断することが必要です。このジレンマやトリレンマ、テトレンマ・・・など複数の選択肢についての考え方は別途詳述していきたいと思います。

 これでプロジェクトにおける製品が持つべき6概念判断規準表ができました。

 この規準表を作るのは前述のように、デザインディレクタがプロジェクトの責任者として優先順位を決めてメンバに説明していきます。その際にいろいろな意見が出ると思いますが、それらを全て採用することは無理ですから、判断規準を決めるのはディレクタの責任において成されることを宣言しておきましょう。

Fig.13

 以上、アイデンティティ評価(特徴点評価)の判断規準について3項に分けて説明しました。実際にデザインを判断する際はさらにブレークダウンして、ここで洗い出した判断規準を用いてデザイン計画とのズレという形で判断していきます。実際の事例については別途詳述していきます。

 次項ではユーザビリティ評価(使い勝手評価)の判断規準について記していきます。

ではまた!

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