ビジネスパーソンが行うデザインディレクション

Request of the design デザインディレクションとは

デザインの重要性

 ビジネスのなかでデザインの位置付けは非常に重要になっています。製品としてハードウエアを企画製造し販売する事業であればプロダクトのデザインが必要です。スマホアプリを開発販売する場合もインターフェースデザインが求められます。レストラン経営や小売店では店舗の外観とインテリア、サービスロゴ・メニューやSNSに掲載するためのグラフィックなど、たくさんのデザインを必要とします。また従来はデザインとは縁遠いと思われていた土木や設備関係でもデザイン的に優れていることが求められ、競争力に直結するようになりました。

なぜでしょうか?

 デザインを広辞苑では「1)下絵。素描、図案。2)意匠計画。製品の材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画。」とあり、1)はデザインした成果物を表し、2)はデザイン行為の内容を表しています。

 2)で表されているように、デザインとは美的造形性を含む要求をすり合わせ製品にする行いですから、意図を持って製品を形にすることが求められる仕事です。

 この作り込んでいく意図が、想定しているユーザーにわかり易く伝わることで、選好されることが求められます。少なくとも嫌われないことが求められます。

 以前は製品の「機能と作りやすさ」を最優先にして、ユーザーの好き嫌いを気にせずに作るという時代でしたが、現在は製品が足りない時代ではありませんから、製品を手にいれるなら「格好良いこと」が選定基準の最上位にくることも多く、デザインの重要性は高まっています。

デザインディレクションとは

 デザインディレクションとは何か?デザインを生業にしていない友人に聞かれたことがあります。この質問には毎日デザインディレクションを実行している私としてはビックリしたのですが、デザインディレクタの仕事をどのように思っているか聞くと「デザインを決める責任者で、デザイナをアシスタントにしているプレイングマネージャーって感じ?」と言われました。これは半分正解といったところです。そこで「デザインディレクションとは」を説明してみることにします。

 デザインの定義は前述しました。ではディレクションとはなんでしょう。ジーニアス英和辞典によると「Directとは道を教える。指揮する。管理する。監督する。演出する。指図する」とあります。

 デザインとディレクションを合わせたデザインディレクションとは「製品の材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画を作るための道筋を示し、指揮・管理するために監督・演出・指示する行為」となります。これを箇条書きにすると、

  • 対象は製品であること。これはユーザーが存在することを意味します。
  • 範囲は製品をかたち作る諸要素全てについてです。
  • 行為はユーザーからの受け止め方を想像し最適解(総合的造形計画)を考え示します。
  • 役割として最適解を具現化するデザイナを指揮するため実行を指示する

 となります。ここでポイントはボールドにした箇所で「ユーザーを想像して製品をかたち作る諸要素全ての最適解」これがデザインで、デザインディレクションとは「最適解を考えるデザイナを指揮するため実行を指示する」という行為になります。

ですから先の質問に対する答えでは「デザインを決める責任者」は当たっていますが、「デザイナをアシスタントにしている」というところは正解ではなく、デザイナが考えた様々なデザインアイデアを元に最適解の方向性を指し示すことが最も大事な役割になります。

ビジネスパーソンもデザインが必要

ビジネスパーソンもデザインをディレクションする必要がある。

 ビジネスパーソンのみなさんは製品や宣伝などデザインを必要としていることが多いと思います。そしてそのデザインがビジネスに的確にフィットして欲しいと期待し、デザイナを雇ってデザインを注文する必要があると考えているはずです。

 または今まで何度かデザイナに製品を頼んだものの、思い通りにデザインが仕上がらずデザインは難しいと思い、不満に思っているビジネスパーソンも多いと思います。

 そのためチラシが欲しいと考えた際に「デザインをデザイナに頼むのは高いだけで無駄だ」と思い、自分でオフィスアプリなどを駆使して、なんとかチラシなどを作ってプリントアウトして済ませる方もいると思います。

 このようにデザイナをうまく使えないのは、デザインをしっかりと理解できていないことが原因ですが、そのデザインを理解するには専門的に勉強しないと身につかないと考えているからではないでしょうか。そもそも自身のセンスの問題かもしれないと思っているのかも知れません。

 本ログではこのようなビジネスパーソンのために、誰でも必要となるデザインを正しく理解して、自身が欲しいデザインの方向性を示し、実行を指示する。つまりデザイン・ディレクションが出来るようになるためのヒントを記したログを書いています。

 ではまた!(2024/1更新しました)

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