企業・製品・社会のスタンスと相互作用

interaction デザインディレクションとは

 デザインを決定するディレクタであるあなたとあなたが所属している企業。そこで作られる製品、その製品を生み出し消費していく社会。これら3項目の間には相互作用が生まれます。企業 × 製品 × 社会の関係性を以下の図(Fig.2)に挙げました。これらの相互作用にどのようなスタンスで向き合っているか?また、その優先順位はどのように置いているかという問いも自分なりに整序していきましょう。

Fig.2

企業(デザインディレクタ) × 製品

 ここから生まれる問いは、企業の製品づくりに対する信念、製品に盛り込まれる主張、そして判断基準のもとになる主義が考えられます。製品は市場で流通している間に企業(デザインディレクタ)が発信した当初の意図から独り歩きを始めます。この独り歩きは企業の企図が反映されて広がっていくことが望ましいですが、やもすると考えもしなかったズレを起こし独り歩きしてしまうこともあります。製品に込めた思いをあらゆる視点から確認して誤解を与えることがないように細心の注意を払うことが求められます。

製品 × 社会

 ここから生まれる問いは、生活の進化とそのスピード、また文明や文化の発展への寄与度です。製品が業界でどの様な立ち位置で上市されたか、製品が提案するソリューションが業界を引っ張る役割を果たしたか、業界の流れに一石を投じる異なる価値を提案したのか、それとも異端児として無視される立場なのか、製品を通して社会にどんな提案をしたかという問いになります。

社会 × 企業(デザインディレクタ)

 ここから生まれる問いの社会的目標は、自社は社会に対してどんな関係でありたいか?という問いと、どのような貢献を社会にできるかという目標や、製品を作るための資源や人材を調達するリソースとして社会を捉えた場合、どのような課題を受け取るかという関係です。ここでは自然も社会に含んで考えますからSDGsなどサスティナブルをどう捉えるかといった課題も含まれます。

 次にプロジェクトを推進する企画者であるあなたの個人的な目標です。ここではプロジェクトの成否が自身にどのような影響がでるか建前だけでなく本音で検討しておきます。

デザインディレクタは製品開発の全てを考える

 私自身も様々な製品を作るなかで、これらをプロジェクトに応じて考えてきました。プロジェクトによって考えること、気にしないこと様々です。そのためプロジェクトメンバーから企業・社会・製品とその相互関係の質問を受けた際、明確な答えを用意していなかったために、メンバーに不安を感じさせてしまった経験があります。

 このような反省から企業・製品・社会のそれぞれのスタンスとこれらの相互関係について、プロジェクト開始時から考え、自分なりの答えを用意しておくようにしました。これによって一貫性を持って様々な判断を素早くできるようになり、自分の悩みも随分と軽くなったと思います。なによりスタッフに余計なことで悩まずプロジェクトだけに専念させられる環境が与えられたと思います。

 デザインディレクタは納得のいく良い製品を上市するためには製品開発に関係するあらゆることを考えることがとても大切です。

 ではまた!

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